悪夢②
小学生の自分は鍵っ子だ。
家に帰ってきたら2階の自分の部屋に行って、
寝転んでお菓子を片手にお絵かき用のスケッチブックを開く。
ピンポーン。チャイムが鳴るが出なくていいよと言われてるので、出ない。
さらにピンポーンと鳴る。無視しているともうチャイムは鳴らない。
クッキーを咥えてお絵かきを続ける。
「ねえねえ」知らない男の声がして顔を上げると、
2階に上がる階段のところから男が顔を出している。
「返事が無いから上がってきたんだけど」驚いて声が出せない。
ギッと、階段を踏む音が聞こえる。
勝手に家の中に入っちゃダメじゃないですか。
そう思うけど知らないおじさんだから言えない
。「何してるの? お絵かき?」ギッギッと、階段を上がってくる。
おじさんの顔だけが見えていたのが、変な色のブレザーとか
靴下を履いた足とかまで見えてくる。
至ってどこにでもいるおじさん。知らないおじさん。
自分の部屋のドアの前に立ったおじさん。
「ねえ、遊ぼうよ」出ない声を絞り出そうとしながら、
ぼんやり自分はこの後どうなるのかな、と想像してみた。
おしまい。